『内向型人間のすごい力』静かな人が世界を変える
スーザン・ケイン著 講談社文庫+α文庫

内向的であるために感じている苦しさや痛みは、大袈裟ではなかった…。
この本を読み、私の、幼い頃の数々の心身の苦しかった記憶は内向型人間なら誰でも持っているものだということがわかり、強力な理解者を得た気分になりました。
内向型人間と外向型人間を分けるものは、環境や生育歴ではなく(影響はあるが)、脳が高反応する部分の違いによるものであるのです。
もちろん、はっきり内向型と外向型に分けることはできない、中間型が最も多いのですが、私は、かなり内向型が強いタイプです。
内向型人間は、あらゆる外界からの刺激に対して高反応を示します。
肉体的な痛み、アレルギー体質、他者の感情の感知、美しいもの、リスクへの意識、罪の意識、悲しみの感情、集中力etc。
私は大勢の人に合わせて刺激的な日を過ごした晩は、ひどく具合が悪くなることがあります。
根性なしな訳じゃなく、心身共に私にとっては刺激が過剰なだけなのでした。
外向型人間は社交的で、内向型人間は人間嫌いだという説がありますが、それはその人や周りの刺激に高反応しているだけなのです。
そうなんです、人は好きなんです。
内向型人間は、大勢で上っ面な話をしたり、騒ぐことはあまり好まない。内向型人間は、二人、あるいは数人で深い話をすることを好む。というのもよく理解できます。人見知りな割には、それ程親しくなっていない人との世間話は苦手でも、深い話しならいくらでもできるのです。
内向型人間は、一人で集中することができるので、実は数々の知的功績は内向型人間によってもたらされているといいます。静かな人が世界を変えているのです!
しかし、人格の時代から性格の時代に変わったとき、内向型人間は生きづらくなったのです。
特にビジネス界の競争では、自分をアピールし、社交的で、雄弁で、リーダーになる事、輝くこと、目立つことが好きな人たちが、実際の能力とは関係なく有利な社会になりました。
外向型人間の報酬系に高反応なことが、リーマンショックを引き起こしたくだりは、恐ろしくも興味深かったのですが、トランプ当選もその原理が当てはまる?なんて思ってしまいました。
また、ブレインストーミングなどオープンなディスカッションがビジネスでも学校でもよしとされていますが、最新の調査では、一人、一人でじっくり考えたアイデアの方が高い成果を示しているのだそうです。
ほんのいくつかの最先端の会社は、一人でじっくり仕事ができる閉鎖的なブースのあるオフィスに変え始めているとか。きっと内向型人間の多い賢明な会社に違いありません!(笑)
オープンディスカッションでは、押しの強い外向型人間の意見・アイデアが取り入れられ、内向型人間の意見・アイデアが闇に葬られるのは想像できます。
リーマンショックへの警告をしたのは、リスクに高反応でよく考える内向型人間たちで、全く耳を貸さなかったのは報酬系に反応して興奮しきった外向型人間たちでした。
内向型人間ならではの能力は、外向型人間のように目立つことがないだけで、外向型人間を超えていると言います。内向型人間は、名誉やお金に執着がないことも外交型人間の陰に押しやられる理由かもしれません。
外向型人間は、内向型人間の言うことに耳を傾け、共に静かな時を過ごす習慣を持つとよいと言います。
内向型人間は、外向型人間が嫌いなわけではありません。内向型人間だけでは気詰まりになるところも、適度な外向型人間がいることで場が活性化して気楽さ、楽しさが増します。
私も適度な外向型人間と過ごすのは大好きです。
幼少期の苦しさや痛みは、脳の反応によって現れた内向型人間に由来していたのだと知り、よく登校拒否も起こさず頑張ったねと自分に言ってあげたい!
内向型人間は、無理をして変わることはないけれど、経験を積むことで、苦しさは変わらずとも、世界を広げ、堂々と振舞うこともできます。
その姿は、とても内向型人間とは思えないもの。
今までになく、内向型人間だからこその能力について書かれたこの本。勇気づけられたし、なんだか痛快でもありました。
そして、今の若者やソロ充さんがいっぱいの世の中を見ていると、これからは内向型人間が主流になるような予感もしています。
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