退院して母と家に帰り、荷物を置いてすぐ2人でスーパーに買い物に行った。
帰ってきて少し遅くなった昼食を食べながら、
母は、あ〜美味しい!を連発していた。
口内の手術だったため病院食はドロドロで飲み込むだけみたいなものだった。
違和感なく食べられるのなら、なんでも食べてよいとのお墨付きをいただいたので、
母は好きなものを買ってきて食べていたのだ。
そして、噛むことが美味しさを増すのよねと言っていた。
買い物に行く前に、2人で冷蔵庫の中身を確認しながら、
何買って来ようか?と話している時、
なんだか母の様子がおかしかった。
頭がもやもやして、何を考えればいいのか、
何をすればいいのか、わからなくなったという。
なるほど!
これが病院の怖いところだ。
噛まなくていいのもそうだし、
病院では何も考えなくても食事は出てくるし、
看護師さんが次にすることを言ってくれる。
家では、毎日家にあるものに想いを巡らせて献立を考え、
あれは、明日までが賞味期限だから次のを買ってこようとか、
この材料で、明日の昼まではなんとかなるとか、
当たり前に考えているようで、
実は瞬時にそんなことを次々に考えるということは、
なかなか頭を使っているのだ。
たった5日間病院にいただけで、
家に帰ってきて自分で段取りを考えなくちゃになったら
一瞬混乱してしまったというのだ。
これがもっと長く続いたら、考えることが苦痛で面倒になってしまうのだろう。
母が毎日1人で暮らしていくために考えたり、
やっていることが、どんなに自分のためになっているのか。
母は今日痛感したのだ。
私も、ちょっと混乱してる母を見て、こういうことか!と思った。
自分で考えて自分で決めるプロセスって本当に大事で
簡単に人に明け渡しちゃだめだね、と話し合った。
身体が不自由で人に援助してもらうとしても、
自分で考えて決めて、どう援助して欲しいかを
主体的に伝えられることが大事だね、とも。
痛感した母は、私が食器を片付けようとしたら、
大丈夫!いつもやってることだから。
とエプロンをつけて片付け始めた。
こういうところがいいところ!
スーパーで買い物をしてる時も、
初めはカートにしがみつきながらアレコレ手にしては置くを繰り返し
考えがまとまらないようだった。
私は見て見ぬ振りをし、お母さん、ちょっとあっち見てくるね〜と離れたり、
隣にいても口出しをせずに待ち、ゆっくり考える時間を作った。
そのうちに元に戻ってきて、消費期限を見てこれは明日までだから今度にしようとか、
これは今晩と明日の朝に使うわとか、
いつもの母になっていた。
歳をとったんだなぁ…とか、
年寄りはこういうことができなくて困る…とはあまり思わない。
歳をとるってこういうことで、私もそうなっていくんだなぁ…と、思う。
勉強させてもらってるんだと。
ピンクのエプロンをした笑顔の母は可愛いくて、
お母さん、まさかこの人が今朝退院してきた人とは誰も思わないよ
と言って笑った。
お医者さんも、看護師さんも、頑張ったお母さんも
振り返ってみるとみんな有り難いと感じる日々だった。
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