
11月3日までは「皇室の名宝 1」が開かれていました。一期は、「永徳、若沖から大観、松園まで」と称して、近世絵画、近代の宮殿装飾と帝室技芸員の展示でした。
今回の二期は、「正倉院宝物と書・絵巻の名品」で、考古遺物、法隆寺献納宝物・正倉院宝物、古筆と絵巻、中世から近世の宮廷美、皇室に伝わる名刀の展示でした。
今回の私のお目当ては、絵巻物です。とりわけ高階隆兼筆の「春日権化験記絵」(20巻のうち3巻)がお目当てでした。

鎌倉時代の絵所預(宮廷画家)としての高階兼高が描いた、大和の絵の最高傑作とも言われる絵巻物です。大和絵と言えば、細密画。その細かく丁寧に描かれた絵巻物からは、質実剛健な鎌倉時代のイメージとは少し違った、鎌倉時代の人々の様子、生活ぶりが、明るく、活気を帯びて伝わってきます。いくら見ても見足りない、飽きることのない絵巻物です。
一人ひとりの着物の柄、色、表情の豊かなこと。畳のヘリの模様や、犬たちまで鮮やかに描かれています。こうした記録のおかげで、どんな文章よりも百聞は一見にしかずで、当時の道具や暮らしぶりがわかり、時代の検証、研究にも役立っているに違いありません。
宮内庁の、この絵巻物の補修作業によって展示できるまでになりました。しかし、全20巻あるこの絵巻物、後10年かかけて全部を補修するのだそうです。
また、正倉院宝物の模造制作も行われていて、それによって技術を継承し、それがまた歴史を繋ぐ貢献をしているのだそうです。歴史を知ることは、人への畏怖を覚えます。そんな瞬間が私は好きです。
私の好きな源氏物語の絵屏風もいくつかありました。安土桃山時代の加納永徳筆のものと、江戸時代の加納探幽筆のものがありました。本の写真でしか見たことのなかった狩野派の絵が観られてドキドキしてしまいました。
探幽は、今までの源氏絵の「ひき目かぎ鼻」ではない表情の顔を描き、絵の周りにも広い空間をとり、後の狩野派を確立したとされています。
これは、加納探幽筆の屏風の一部分です。

とても混んでいて展示物も多いので、私は絵巻物のところに真っ先に行きじっくり楽しみました。あとは、初めに表にチェックしていたものを中心に音声ガイドを聴きながら見ました。
藤原定家、伏見天皇、花園天皇の書。ここには、更級日記や伊勢物語などもあって興味深かったです。
香箱が二種類出ていました。遊香の経験がなかったら、よくわからなかった香のお道具もお陰様で興味を持って見ることができました。
そして面白かったのが「天子摂関御影(天子巻)」南北朝時代の後嵯峨天皇から後花園天皇までの今で言えば似顔絵?肖像画の絵巻物です。なかなかの歴史上の天皇好きな私はひとり、にやにやしながら「えっ、伏見院の顔!ぷっ。後花園やせてるぅ~」などと楽しみました。皆さん、垂れ目。今の皇太子より、秋篠宮につながりを感じたりして。
正倉院の宝物も、今もなおこうして現代を生きる私たちの前に朽ちることなく姿を現し、心に語りかけてくる。長い間の人智と努力によって紡いできた日本人の心に感動します。
夫、博士が帰ってくると忙しくなります。今日だけが行けるチャンスだったので、時間はたっぷりとれなかったものの本当に行かれてよかった!幸せ^^
今日もまた、深い歴史と特有の文化をもつこの日本に生まれてよかったつくづく感じ、今も余韻に浸っています。

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▲ by housewife_life | 2009-11-24 22:08 | 鑑賞 | Comments(6)