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ままごと日記 polianna.exblog.jp

小さい頃、ままごととお絵描きが大好きでした。今だに私の生活ままごとみたい。紙の上でもお絵描きでままごとしてます。お家好きなことりの日記です。  


by ことり

辻村深月、村田沙耶香

  • 今日も達成感の土曜バイト!

月曜辺りに、筋肉痛 come on!です。


ところでこの間最近読んで当たり!だった本のことを書きました。

『本屋さんのダイアナ』柚木麻子著 と 『ポイズンドーター・ホーリーマザー』湊かなえ。








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あとの2冊。

『鍵のない夢を見る』辻村深月著

5編の短編小説から成る直木賞受賞作です。

彼氏が欲しい、幸せになりたい女たち。

なぜ、そこにある危うさに気づかないのだろう?

そして転落していく彼女たち。

そんな彼女たちと自分の境界線は紙一重のようにも感じます。

しかしその薄い境を越えることなく

私たちは絶妙なコントロールで健全な方に向かって生きていくこともできる。

その紙一重の差はとても大きい。


5編の中の最後の『君本家の誘拐』は、

車で近所のショッピングモールに行き、

ベビーカーを押してほんの少しだけウインドショッピングをし、

ヘアゴムを買おうと一瞬ヘアゴムに気をとられ、

手元を見るとベビーカーがなくなっていたところから始まる。

パニックになり、店員や警備員たちがベビーカーを探すが見つからない。

夫に連絡をとろうとバックの中を見ると携帯を家に置いてきたことに気づく。

携帯がないので、夫の電話番号もわからない。

そこで警備員らに赤ちゃんを探しているから取りに行くように勧められ、

パニックになりながら車で家へ向かう中、

子どもを欲しいと思ったときから、

生まれてからの想像以上に大変だったことの細かな一つ一つが思い出される。

夜泣きのひどい子で、自分も一緒に泣いたことや

そんなとき協力的ではなかった夫のこと、

昼間この子がいなかったら一人になりたいと思った自分のこと。

そんなことを思ったからこんなことになったんだと自分を責める。

一方あの子がいなくなったら自分はもう生きていけないと思う。

ここから先は書きません。

その結末…私は心を打たれました。

母なら(とても大らかな母は感じないかもしれませんが)主人公がこうなったこと、

理解できるのではないでしょうか。

彼女の行動は信じられない!と思う人もいるかもしれません。

しかし、こうしてみんな母になっていくという、

ちょっと極端なようで実は現実的な母の心の物語だと思いました。

子どもを産んだ途端に母になれるわけではなく、

むしろみんなお嬢ちゃんのまま母になるから、

泣いたり、自分の立場は理不尽だと思ったり、子どもに当たったり、

そして自分を情けなく思い、落ち込んだりしながら

時間をかけて子どもに大人にしてもらうのです。

それでもこの子を命がけで育てあげようと思うのです。

そんな若い母たちを未熟だとか、甘えているとかではなく、

頑張っているね、と抱きしめたくなる、そんな物語でした。



『コンビニ人間』村田沙耶香著

読みかけで寝たら夢に出てきてうなされて目が覚めてしまいました。

思ったことをそのまま口に出してしまう主人公。

そこに怒りや感情はないが、いや、ないから口に出してしまう。

それでは社会でやっていけないと家族に言われ、

そんな自分を出さない為に、学校ではいつも一人で過ごしてきた。

ある日そんな彼女がビルの一階に新しくできたコンビニの前を通る。

ガラスの水槽の中のようなコンビニ。

ここでなら働けるような気がして店員として働き始める。

自分は他の人の喋り方の真似が上手いことに気づき

他の店員の喋り方をコピーして、自分の喋り方を出さないように店員たちと会話をする。

仕事はよく覚え、品出し、客の動きを見ながらのレジ打ち、

売れ行きを考量しての陳列など仕事の信頼は厚い。

昼も夜もそのコンビニで買ったものを食べ、

主人公は、私の身体も生活もコンビニでできているのだと思う。

そしてそれまで社会への所属感がなかった主人公は

初めて世界の部品になることができたと思った。

ある日新入りの男性店員がやってきて、彼女の生活は

実に奇妙に変わって行く。

私は、そこで中断して寝たものだから、

新入りの変な男と奇妙な生活にうなされてしまったのです 笑

この後の結末は書きません。

コンビニ人間、相当変わり者のように思えるかもしれません。

でも私は、『鍵のない夢を見る』で感じたように、

ここにもデフォルメされているだけで、紙一重の私がいるのではないかと。

水槽のようなコンビニは、彼女にとって自分で居られる場所、

人生が必要としてくれる場所です。

逆を言えば、その場所を見つけた時、人は自分になれるのだと感じました。

彼女にとってのその場所がコンビニなのです。

コンビニで働いている時の彼女は、どんなに気持ちよく自分でいるのだろうと想像することが

私には気持ちのよいことでした。

コンビニの声が聴こえる、その声にもっと完璧に従うために存在している。

これを気持ち悪いととるかどうか。

またあとがきには、この結末をハッピーエンドととるか、バッドエンドととるか、

とありましたが、

私はハッピーエンドにとりました。

みなさんはどうでしょう。


『鍵のない夢を見る』『コンビニ人間』普通ということを考えさせられる小説でした。



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by housewife_life | 2018-09-22 18:18 | | Comments(0)