『羊と鋼の森』からのインスパイア『森の音』

青い絵ができあがりました。

青い絵…て 😅

『森の音』とでもしましょうか。

タイトルは変わるかもしれません。

宮下奈都さんの『羊と鋼の森』を読んでいた頃に浮かんだ絵です。

あくまでも読んでいた頃に浮かんだ絵なので、

『羊と鋼の森』が、この絵のようなお話というわけではありません。

ところで、原画の透明感が出ないのが残念です。




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絵が浮かんだのは、主人公の僕が、

学校の体育館で生まれて初めてピアノの調律を見たときのことです。

「ピアノの蓋が開いて、そばに男の人が立っていた。

何も言えずにいる僕を、その人はちらりと見た。

その人が鍵盤をいくつか叩くと、蓋の開いた森から、また木々の揺れる匂いがした。

夜が少し進んだ。僕は十七歳だった」

「夜になるのを待って活動を始める山の生きものたちが、すぐその辺りで息を潜めている気配がある。

静かで、あたたかな、深さを含んだ音。そういう音がピアノから零(こぼれ)れてくる」

『羊と鋼の森』より




華やかな演奏の陰で演奏者を支える人たちを描いたこの小説が好きです。

自分は知らない、もっとたくさんのことを見て知らなくては!

と思い、繊細に物事を感じ取っていく主人公の僕。

そんな僕は、一見自信がないように見えるが

知らないと自覚していることこそが、僕の強みだと思いました。

知らない、わからない自分をしっかり持っている。

わからないことが何で、どうわからないのかがわかっているのです。

上っ面でなんとなく生きていない僕だからこそ、

自分にはわからないことがたくさんあることがわかっている。

無知の知という言葉を思い出していました。

それが僕を成長させていく。

美しいという言葉を

「知らなかったというのとは少し違う。僕はたくさん知っていた。ただ、知っていることに気づかずにいたのだ」

僕がそのことに気づいた場面はなぜか涙が出ました。

「その証拠に僕は記憶の中からいくつもの美しいものを発見した。

たとえば、実家にいる頃祖母がつくってくれたミルク紅茶。略

たとえば、泣き叫ぶ赤ん坊の眉間の皺。それ自体が強い意志をもつ生き物のようで、そばで見るとどきどきした。略」

「美しいとことばに置き換えることで、いつでも取り出すことができるようなる。

人に示したり交換したりすることもできるようになる。

美しい箱はいつも身体の中にあり、僕はただその蓋を開ければいい。

これまでに美しいと名づけることのできなかったものたちが、記憶のあちこちからひゅっと飛んでくるのがわかる」

「ピアノが、どこかに溶けている美しいものを取り出して耳に届く形にできる奇跡だとしたら、僕は喜んでそのしもべになろう」

僕はひとつひとつわかろうとする。

周りの先輩たちは暖かく勇気づける人たちで、

僕はそれをちゃんと感じて、受け取って丁寧に成長していく。

その姿が感動的です。

調律という題材の小説でありながら静かな小説です。

情報が溢れる外側ばかり見ていないだろうか?

きちんと自分の感じ方で感じているだろうか?

静けさを持って自分に対峙することの美しさを主人公の僕が教えてくれる小説でした。

と同時に、この本を勧めたいと思う本屋さんの感性が素敵だと思いました(本屋大賞受賞作)

ひたすら「好き」という気持ちで裏方の仕事に徹する人々の思いが乗っているように思えたからです。

最後に、僕の先輩の柳さんが静かに言ったことば。

「才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないかな。どんなことがあっても、そこから離れられない執念とか、闘志とか、そういうものと似てる何か。俺はそう思うことにしてるよ」

主人公の僕にはそれがあると思います。




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by housewife_life | 2018-05-22 21:54 | イラスト | Comments(0)