二つの作品展
ひとつ目は資生堂ギャラリーで「ヘルシンキ・スクール写真展」
ヘルシンキ芸術デザイン大学から生まれたアプローチや考え方を継承する教師、学生、卒業生たちのグループを名付けたものです。
糺の森さんのブログを見て、ビビビッときて、行きたいと思ったのです。
隣で写真家の方々がどう撮ったのかと技法について語り合っていました。
少女の手を撮ったアンニ・レッパラの「手」 という写真の、深紅のスカートとピンクの厚地のスモックブラウス、同じくアンニ・レッパラの「餌を与える」の白鳥の首と頭に光る雪の結晶と少女達のスカートの配色。
そのアングルと暖かく懐かしい配色が、私に何かを満たす。…私の場所を感じる。小さい頃からずっと私の中にある場所です。
そんな場所に行けると直感するものに稀に出会います。そんな時静かに満たされます。今回もだからここに来たかったのです。糺の森さんありがとう!私ここで出会っちゃいました!
資生堂ギャラリーを出ると、夫が来て待っていました。
次は、すぐ近くのギャラリーで夫の知人が息子さんと開いた「父子二人展、静動一如」の鑑賞です。
父田邊祥二氏は書(書歴40年)を、息子さん田邊無二氏は絵(画歴25年)を出品。
お知らせの葉書の作品を見たときから、その迫力に行くのを楽しみにしていました。
作品の一つです。
息子さんの作品には、この作品とは全く違うもの(現代アートでポップな画風)もあり、どちらも強いメッセージを放っていて、私は好きな画家だと感じました。
田邊さんは、幕末に禅寺を建てた武士、山岡鉄舟が打ち立てた「入墨道」(じゅぼくどう)またの名を「筆禅道」で書かれています。
筆から気が出るのを感じるうちはまだまだで、無になることを目指して書に取り組まれているそうです。
この「寿」を書いているときに田邊さんは無になったと言います。このたった一枚だけ。他の書も丹田から湧き出たかのような静なエネルギーが満ちているというのに…。
鑑賞後、お茶をいただきながら、禅問答のような芸術論をうかがいました。深くて厳しくて難しい話でしたが、素直に話が入ってきてとても面白かった。苦難の人生と真剣に対峙してきたからこその厳しさが、芸術の深みを増すのだと感じました。話を聞きながら、思うことがたくさんありました。
田邊さんと夫はいつもこんな話をしているのかしら…。
帰りに田邊さんが今日は最終日だからと、いただいたプリザーブドフラワーを私に下さいました。
ギャラリーを出る時、芸術論を語っていた時とは別人のような優しい笑顔で手をふって見送ってくださった田邊さんの顔が今も浮かびます。
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