「源氏物語 錦織絵巻展」
母と、大倉集古館へ「源氏物語 錦織絵巻展」を観に行きました。
織物師 山口伊太郎氏が昭和45年に着手し、平成19年105歳までに織り上げた、源氏物語絵巻4巻の展示です。
絵巻はたくさんの絵師によって描かれていますが、山口伊太郎が使ったのは、徳川美術館所蔵の、国宝の絵巻物です。この絵巻物は、緑青がはげたりして不明瞭なものが多いのですが、そこから素晴らしい模写をして下絵を作り上げています。まず、それに感嘆です。
それからその下絵に経糸、緯糸のための方眼を引き、必要な色の糸を染めて織り上げます。一つの絵につき3枚ほど色のトーンを変えたりしながら織り上げて、どれを使うか決めるという気が遠くなるような作業工程を経ていきます。
物語の部分の文字も全て、筆ではなく、織物で表現しています。明治以降、国宝の原本保存と普及のために模本が作られていますが、それらも筆舌に尽くしがたい心血が注がれていると言います。それを、山口伊太郎は、染め・織・刺繍の技法で原本に忠実に制作したのですから、作品のすばらしさは形容しがたいものがあります。
105歳で亡くなるまで、絵巻物制作を続けたなんて、なんて素晴らしい人生でしょう。苦労を苦労と思わないほど、織ることが人生そのものだったのでしょう。
宗達派の描いた絵巻物のある場面を等身大で作りたいと言っていたそうです。
「そうすれば、お姫さんに素晴らしい着物を着せてあげられる」
見てみたかったです...
絵巻物は、物語を読むのとはまた違った発見があってとても面白いです。それにしても、絵師にあれだけの場面を描かせるというのは、いかに紫式部に明確な場面設定があったかということです。また絵師たちも、源氏物語を深く読みとって、文字では出てこないものを浮かび上がらせています。人の配置によって、支配性を表したり、当時の女たちの男に対する立場などが窺い知れます。
美しいものを見て胸はいっぱい、でもお腹がすいた母と私は、近くの「M de Chaya」(M CAFE)でランチタイムです。
桜の枝が低く垂れこめた、緑いっぱいの通りを眺めながら食事できるここは、前に友達と来た時は「kihachi cafe」でしたが、今はマクロビオティックのお店になっていました。(そうなの、おみっちゃん)
玄米のランチを頼み、よーく噛んで噛んで美味しくいただきました。
この後、サントリーホールの屋上ガーデンをゆっくり散策し、カラヤン広場のオープンカフェでお茶をして帰りました。母は大満足で、よかった~^^
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