ままごと日記 polianna.exblog.jp

小さい頃、ままごとが大好きでした。今だに私の生活ままごとみたい。紙の上でもままごとしてます。イラストレーターの わたくし、ことりの日記です  


by ことり
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香を聞く 遊香席に導かれて

 骨董と香道をたしなんでいる友人が遊香の席に呼んでくださいました。

 朝早くから着物を着て、(夫はそのために朝食も自分で用意して協力してくれました)明治神宮の中の隔雲亭へと砂利を踏み踏み参道を進みました。今日は暖かで久しぶりの神宮の澄んだ気を胸いっぱいに吸いながら…。
                    
                       隔雲亭の入り口
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 初めての体験。どんな世界が待っているのかしらとドキドキしながら導かれるままに席に着きました。

 袴姿の骨董店主N先生の、まだお若くて端整なお顔立ちに驚いていると、上品にゆったりと包み込むようにお話を始め、私は「道」を持っている人は若くてもこんなに奥深さを湛えることができるのだと更に驚いてしまうのでした。

 お香は香りを嗅ぐのではなく、香りを聞くというのだそうです。音楽を聴くように、香りを深いところで全身で感じるのです。

 さて楽しみ方です。お香が、三種類を3つずつ全部で9つ用意してあって、その中から適当に3つを取り出して焚き、その3つの香りが全部同じか、全部違うか、或いは同じものはどれかを聞き取ります。

 そして、各自に配られている記紙に名前を書き、縦に三本|||と線を引きます。右から初めの香り(出香)2番目の香り(二炉)3番目の香り(おしまい)を意味します。全部違う香りなら|||。全部同じ香りなら|||の上を全部横線でつなぎます。一番目と二番目が同じならその二本の上を横線でつなぎます。
 色々な記号ができるわけです。
 今回は「源氏雅香」で、その記号には、せれぞれ「ひめひょう」紫の上、花散里、明石の上、六条御息所、葵上、或いは「とのひょう」源氏の君、桐壺院、鬚黒の右大将、式部卿宮、頭中将の名前がついています。
 香を聞き、記号とその名前を書いて提出し、 しばらくすると、全員の答えと正解が回ってくるのです。

 私は、二炉とおしまいの香が同じだと感じ、明石の上と書きました。

 正解は明石の上、或いは鬚黒の右大将。でもこれは、正解がよいと言うわけではありません。
あくまで香りを聞くゲームです。当てられた人は感性が鋭いのだと思い、はずした人は自分が健康なのだと思ってくださいとN先生はおっしゃいました。健康な人は香りが薄く感じられ、聞き分けにくいのだそうです。
 これには、思い当たる節がありました。私は実はとても疲れていたし、精神的にもまいっていましたから、一番目の香を聞いた時とても強く身体のなかに入ってきて、その時は忘れていたはずの悦子先生が突然広がり、涙が出そうになったのです。
 ところが二番目と三番目のときにはそういう感じがしなかったのです。正直、香りの違いはわからなかったのですが、その感じを頼りに明石の上を選んだのです。

 お作法に従って、ひとりひとりせくことなく、静かな空間の中で香を聞く。先生がおっしゃるように、本当に心も身体も浄化されていくような気がしました。

 私は平安の人々の優雅な遊びと言うより、平安の人々は遊びを通して心を平らかにすることを知っていたのだなぁと思いました。現代の遊びとは大違いです。花や月を愛で、心を歌に表わし、香を聞きながら静かに身体の中を見つめる。今日はほんの少しですがそんな遊びに興じて、私は傷んだ心が癒されました。

 N先生が、今日は冬至ですね、とお話になりました。
「昨日までに陰極まって、今日から少しづつ陽となるのです。中国暦では、今日は新年になるのです。一陽来福、せっかく明治神宮にいるのですから、帰りは是非御参りしていってくださいね」

 身体も心もきつかったけれど、今日はなんとしてもここに来たい!私がそう思った理由はここにあったのだ!そう思いました。今年初めに姉を失い、その一年も終わると思っていた矢先の悦子先生のことは、想像以上にこたえていました。そんな時、大好きな友人に一目会いたかったし、香りが癒してくれると信じていました。そしてN先生のこのことば…。
 私も陰極まっていたのをすぐに感じ、ここに来たことで今日から陽に転ずるのだと悟りました。

 香を聞いた後、隣室でお庭を眺めながら点茶をいただきました。
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 そしてその後はもちろん、明治神宮を参拝しました。友人のお母様と初対面の友人の友人と三人で。たくさんの感謝を捧げてきました。

 なんだか友人が、目に見えない力で私を救い上げてくれたような気がしています。だからお声をかけたのよと、いたずらっぽく微笑んでいる友人の顔が浮かびます。

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 この季節には珍しい、蝋梅が活けられていました。こんなに甘い香りがするとは知りませんでした。今から急に物事が変わるわけでも、これからずっとよいわけでもありません。でも、ほんのひと時無心に遊び、心の中は少しでも陽に転じることでしょう。平安の人々がしていたように。


最後まで読んでくれてありがとうございました!最後にクリックしてもらえると嬉しいな 
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Commented by naena at 2008-12-22 01:22 x
神社の空気って、心があらわれるようですね。
その中で聞く香り。
香りに源氏物語の登場人物の名が付けられてるんですね。
静かな空間で、優雅な香りをゆっくり楽しむ。
いいですね。こういう遊びがあるのをはじめて知りました。

ことりさんの悲しみも、どうかゆっくり癒えますように。
Commented by ひろ at 2008-12-23 19:18 x
なんだか神聖で優雅な空間ですね。
「遊び」の中に情緒があり心が癒され気持ちが素直になっていく・・・
ステキです。
いつもいつも思うのですが「その道のプロ」というのは
それがどんなジャンルであれ、尊敬に値しますね。
最近感動したのは、折り紙です。
鶴くらいしか折れない私は、どちらかというと「子供の戯れ」的な印象しかなかったのですが
折り紙のプロは、鳥肌が立つ程感動させてくれます。
私も、家事のプロ目指して頑張りますッッ
Commented by ことり at 2008-12-25 22:41 x
>>naenaさん
naenaさん、暖かい言葉をありがとうございます。
香を聞くことは本当に心が穏やかになる体験でした。
源氏香という名の着物や帯の柄があるのですが、それがあの三本線を色々につなげた記号のような柄なんです。
そんなところにも、遊び心を感じます。
またお香を聞いてみたいなぁとうっとりしている私です。

Commented by ことり at 2008-12-25 22:51 x
>>ひろさん
一つの道を精進するということは本当に厳しいことだと思います。その向こうに、凡人の私には見えない世界があるのでしょう。
このN先生、骨董、書道(昨日ものすごい達筆な礼状をいただきました)の専門家でもあります。お若いので一方ならぬご苦労をしているようです。
折り紙のプロも私たちの知らない世界を見ているのでしょうね。そこまでやった人だけが見られる世界を。
家事も極めたら…何が見えるか…!
きっと本当に尊いものがみえるのでしょうね。
by housewife_life | 2008-12-21 22:04 | 着物 | Comments(4)