児童文学者リンドグレーンと私の子育て
リンドグレーン作
「エーミルはいたずらっ子」
「エーミルとクリスマスのごちそう」
「エーミルの大好きな友だち」
両親と妹と作男アルフレッドとお手伝いのリーナと農場で暮らす5歳の男の子エーミルのお話です。
エーミルは、村の人がお金を出し合ってエーミルをアメリカへ追いやろうとした程のいたずらっ子。
しかし、このエーミルを見ているとエーミルはいたずらをしようなどとは思っておらず、
役に立とうとしたり、好奇心を満たそうとしたり、自分の意志を貫こうとしたり、ちゃんと目的を持っていることが感じられるのです。
少々長くなりますが、ある日のお話を例にあげてみましょう。
キッチンにネズミが出たので、お父さんが納屋の猫を夜中キッチンにおくことにしました。
しかし猫は、納屋にいる方がたくさんのネズミにありつける、そう考えたエーミルは夜中に猫を追い出してやり、ネズミ取りを仕掛けました。
どこに仕掛けようかと考えた挙句、食卓のお父さんの椅子の下に豚肉と一緒にネズミ取りを仕掛けました。
お父さんは、よくパン屑をこぼすので、ネズミがやってくると考えたのです。
翌朝、ネズミ取りに足の指を挟まれたお父さんの怒りからエーミルをかくまうために、お母さんはいつものように急いでエーミルを木工小屋にパジャマのまま引っ張って行きました。(お母さんはエーミルをとても可愛がって愛しています)
エーミルは木工小屋が大好きで、出してもらえるまで木のおじさん人形を彫るのです。もう98体も掘りました。
小屋から出してもらった後、キッチンの窓から下で寝転んでいるお父さんに今夜のご馳走、豚の血入りパルトを見せようとして手を滑らせてしまいました。
お父さんは血だらけ。お母さんはまた急いでエーミルを木工小屋に押し込みます。
パルトが台無しになったので、お手伝いのリーナはジャガイモパンケーキの生地を作りました。
ジャガイモパンケーキの生地が入った陶器の鉢を運んでいたリーナのお腹を、小屋から出してもらったエーミルが指でつつきました。
くすぐったがりのリーナは、身をよじって鉢を飛ばしてしまいます。そして、その先にはまたしてもお父さんが!お父さんはジャガイモパンケーキの生地だらけになってしまいました。
また木工小屋に入れられるエーミル。100体目のおじさん人形を掘りながら、エーミルは怒っていました。2度とこの小屋から出てやるものか!
エーミルにとってお父さんは、ネズミ取りに指を挟まれたり、よりによって2度もパルトやジャガイモパンケーキの生地を被るようなところに偶然出てきて(笑)、お父さんこそエーミルの邪魔ばかりしたのです。
それなのに自分ばかりが怒られて!不公平だ!
エーミルは内側から鍵をかけ、お母さんたちがエーミルを出しに来ても出ない!と宣言します。小屋の中には食べ物もあるのです。
ついに夜になり、お父さんとお母さんの説得も及ばず、二人は外側の鍵を開けてやったまま泣き泣き家に入りました。
それに気づいたエーミルは怒り心頭。今度はなんとしても脱出してやろうと、なんと、暖炉の中に入り、煙突を登ったのです。
小屋の煙突のてっぺんに真っ黒人間が現れて、リーナは仰天!
しかし、エーミルが大好きな作男アルフレッドは飛び降りた真っ黒なエーミルを抱きとめ、夜の湖で泳ごうと誘うのでした。
どうです?エーミルは、大人を困らせてやろうなどと思ってもいないでしょう?
いつも大人の都合の中でエーミルはいたずらっ子に仕立て上げられるのです。
たった5歳で自分の意志と目的をしっかり持っているだけなのです。
作男アルフレッドが真っ黒になったエーミルを抱きとめて、湖で泳ぐシーンがとても好きです。
アルフレッドは丸ごとエーミルを受け入れてくれる大人の友人なのです。
エーミルを読んで感じたことです。
・子どもには子どもの都合がある
・目的を持っていて、それは誰かを困らせようとしているのではない
・内発的動機づけで行動し、その結果エーミルはたくましく色々な技術を身につけていく
エーミルは何故このように描かれたのでしょう。
作者リンドグレーンは、物語りの途中途中で、「エーミルは悪い子などではありません」
「エーミルは大人になって、地方会議の議長になり、レンネベリア中で一番素晴らしい男の人になったのです」
と言います。
リンドグレーンは、子どもの本当の姿を大らかに丸ごと受けとめる眼差しと心を持っていたからではないかと思います。
リンドグレーンは、ユーモラスにエーミルを描き、こんな男の子こそ素敵な大人になるということを教えてくれているのだと感じました。
長々と書きました。さぁ、果たしてここまで読んでくださっている方がいるかどうか…笑
読んでくださっている方にお伝えします。
私の「アドラー心理学で幸せな子育てを…勇気づけの子育て」の講演(お話)は、このリンドグレーンのような眼差しからのお話です。
長い間、私が楽しんだ子育てを人に話すことなど考えたこともありませんでした。
しかし、リンドグレーンの作品を読んでみても、子どもの生き生きとした姿とその姿に向けた私の眼差しは、若いお母様方にお伝えする価値があるのではないかと思えるようになってきました。
息子タクロウの赤ちゃんの時からの写真とと共に、どんな眼差しでタクロウを見て、育ちのお手伝いをさせてもらってきたかをお話ししています。
SMILEで習ったことを、セオリーに囚われ過ぎずに、腑に落としていただけると思います。
私の子育てのお話しは、理論や理屈の方が後からついてきます。
SMILEリーダーの皆様の受講生さん(SMILEが終わった方・ELMだけ終わった子育て中の方・これからSMILEにお誘いしたい方の入門としてなど)に、よりSMILEに親しんでいただけるようリーダーさんの裁量でお使いくださいませ。
今までのイメージからか、講演会のお声がかかるのですが、SMILEのフォローとして、むしろ「こじんまり」も大歓迎です。遠慮なくお声掛け、ご相談いただければ嬉しいです (ㅅ˙ ˘ ˙ )♡
長々とお付き合いいただきありがとうございました (•ᵕᴗᵕ•)⁾⁾ぺこ
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