「誕生日」小説風

 昨日は私の誕生日でした。今回は小説風に誕生日のひとこまを描いてみました。エへへ。^^;


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小説「誕生日」


 誕生日だというのに、ここ数日の寝不足がたたって午後出かけるのはおっくうになった。一番必要なことは睡眠だと、しばらく考えてから気付いた。
 布団に横たわると、頭が枕に吸い込まれるようにあっという間に眠りに落ちた。
 数日前にも見た、スケートをする夢をまた見る。小学4年生から6年生までの3年間、フィギュアスケートを習っていた。習いたいと言った覚えはない。姉が習いたがったから私にも同じ様にやらせたのだろうと思っていたが、姉も習いたいと言った覚えはないと、大人になってから聞いた。ピアノに関してもそうだった。
 ピアノは好きではなかったが、スケートは楽しかった。私たち姉妹は運動神経がよかったので、めきめき上達し、グレード別の試合は姉妹でそれぞれのグレードで優勝した。
 そんなこともあってなのか、スケートの夢はいつも気分のいい夢だった。
大人になった私が恐る恐るリンクに降りる。初めはおっかなびっくり、後ろに重心をとられそうになりながら、ひと足ひと足確かめるように氷の上を歩く。少しずつ氷を蹴って滑り出し、やがて足を大きく動かし、腕を水平に伸ばし、スピードをあげていくことができるようになっていく。
あぁ、まだ滑れる。私は滑れる。快感に頬が、口が緩み、私はどんどんスピードをあげていく。リンクを何周もまわり、ふと向きを変えてバックで滑ってみる。できる。バックができれば、これをそのまま助走にしてスピンに入ることもできるはずだ。そして私はスピンをする。

 スケートの夢を見て目覚めた時はいつも爽快だった。

 布団の中で夢を反芻していると夫から電話がかかってきた。
「きょうはピザをとろう。ケーキを買っていくよ。タクロウは帰ってこられるかな」
「タクロウにはもう少ししたらメールする」

 誕生日は別になにもなくてもいいとも思う。ケーキくらいはあるといいかもと思う。ピザは、このところ試練の日々を送って食欲がなくなってしまっているタクロウが、少しでも食べられればいいと思うからいいアイデアだと思ったまでだ。タクロウが帰ってこられなければとらなくていいねと、夫と話した。
 寝起きのぼさぼさ頭のままサラダだけ作る。夫は、
「まっこり、まっこり」
と韓国のお酒とビールを確かめている。
「私の誕生日なんだからね。あぁ、あれだな、『一月は正月で酒が飲めるぞ~、酒が飲める飲めるぞ、酒が飲めるぞ~』だな。誕生日で酒が飲めるぞ~って、誰のお祝いだ?」
「ことりを祝ってあげたいからだぞ~」
と言いつつ、タクロウがなかなか帰ってこないと
「ちびちびやってるかなぁ?」
「だから、誕生日のお祝いで飲むんでしょうが?」
「まぁまぁまぁ」

 めったにありつけない好物の宅配ピザとあって、タクロウも次々とピザを口に運んだが、いつもの食欲はなかった。
 去年の今日はタクロウの入学式だったなぁと話す。今年はタクロウはサークル勧誘のビラ配りをしてきたのだが、立錐の余地のない在学生と新入生の人の波の中で、やはりビラを配る中学時代の同級生I、T、T、と高校時代の同級生I、S、M、に会い、今年合格した高校時代のアメフト部の後輩にも会うことができたと言った。今年もアメフト部から一人があとにつながり、
「お前、よくやったな!」
と抱き合って喜んだとタクロウは話した。

 それから夫もタクロウも寝転がって、秒殺で寝息を立て始めた。傍らに座って、夫の足をマッサージし、タクロウの手をマッサージする。

 おいおい、誕生日だよ・・・私の。

 そう呟きながら私は思う。
これが一番幸せ。一緒にいる。ここでしか見せない姿で安心して眠っている二人。

 特別なことは時々刺激的で高揚するもの。でもそれは、こんな幸せとはちょっと違う。

 おいおい、と言いながら、この一時は永遠ではないと思う。特別な誕生会一回は、こんなひと時何十回いや、人によっては何百回分の価値があるといっても、私はこんなひと時を欲しがるだろう。
二人が同時に寝返りをうち、私は夫の上に乗りかかったタクロウの足を慌てて掴んだ。




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最後まで読んでくれてありがとうございました!最後にクリックしてもらえると嬉しいな
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by housewife_life | 2010-04-02 14:30 | 日常 | Comments(8)

Commented by saineria at 2010-04-02 15:52 x
コメントいただいて大喜びで来てみたら・・・。
遅ればせながら・・・。

ことりさん!!
お誕生日おめでとうございます。

イラストも小説もかけるのですね!!!!!
すごいですぅ~
知的ですぅ~

これからもまた元気をいただきに来ますね。
Commented by さゆりん at 2010-04-02 19:11 x
お誕生日おめでとうございます♪
日々是好日ですね!
お花はアネモネですね。
大切な御家族のマッサージをされた大切なことりさんの誕生日。
幸せ間違いない!(笑)
Commented by ゆこ at 2010-04-02 22:49 x
ことりさん、お誕生日おめでとうございます!
1日遅れちゃいました…ごめんなさい。

ことりさんの小説で、気持ちがほっこりしました。
ご主人、タクロウさんとの温かい暮らしが、目に浮かぶようです。
何気ない日常のひとコマこそ、かけがえのない幸せですね。
こんなお誕生日を、来年も再来年も…ずーーっと繰り返されます事を、お祈りします。

Commented by いち at 2010-04-04 22:36 x
いやいや私も
遅くなりましたが、誕生日おめでとうございます。
いつまでも家族仲良く、誕生日を祝えますように。
祈っています。
同級生の中ではお姉さんだったのですね。
Commented by ことり at 2010-04-05 09:35 x
>>saineriaさん
saineriaさんありがとうございます!

イラストもこんな文章の落書きも、妄想力ですかねぇ・・・。
知的とは程遠いです^^;

saineriaさんとはなにかと元気づけあってますね。
とっても共感できて、一緒に頑張ろうって思えます。
いつもありがとうございます。
Commented by ことり at 2010-04-05 09:40 x
>>さゆりんさん
さゆりんさん、ありがとうございます!

そう、この花はアネモネです^^
この季節に大好きな花です。
今はみんなめいっぱい開いて美しいです。

マッサージ、この後私もたっぷりしてもらいました。
それを書けって!ですよね^^;
タハハ!
Commented by ことり at 2010-04-05 09:44 x
>>ゆこさん
ゆこさん、ありがとうございます!

感激屋の私・・・なので、これは淡々と書いてみました^^
すごく非日常的なことがある日も楽しいし、こんな当たり前の日がやっぱり大切と思ったりして毎日をすごしていくんですね。
どちらも大切にしたいです。
Commented by ことり at 2010-04-05 09:51 x
>>いちさん
いちさん、ありがとうございます!

4月1日は、学年最終日なんですよ。
私は一番最後に年をとっていたのです。
もし2日だったら、下の学年だったのです。
だから、一番おちびちゃんでとろくて?小学校の間の記憶はなんとなく憂鬱なものです。その中で、スケートは自分は運動ができるのだという発見になり、楽しい記憶になっているのでしょうね。
今は若くていいわね~って、同じ学年の友達に羨ましがられています。^^v  わずかな差なんですけどね 笑