津和野の前に・・・呼ばれてしまいました!「萩ガラス工房」

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 萩で生まれた萩ガラス。

 昨年、新宿伊勢丹デパートに行った時、展示販売されていたのが萩ガラスとの出会いでした。玄武岩から作られる淡い緑色がとても美しくて、思わず足を止めたのです。萩か・・・遠いなぁと、とりあえず連絡先の書かれたパンフレットだけいただいてきました。
 そうしたら、数ヵ月後、夫に「萩に行こう」と言われました。でも、萩ガラス工房は萩の町からははずれた小さな半島のような人里離れた所にあります。せっかく萩まで行っても宿泊先からは離れているし、行けるかなぁと思っていました。
 しばらくして、最初に決まっていた宿泊先のトイレにウォシュレットが付いていないことが判明し、夫が宿泊先を変更しました。なんと!変更先の「萩観光ホテル」は「萩ガラス工房」のまん前にあったのです!

 呼ばれてしまいました、「萩ガラス工房」に!!

 観光を終えて、5時少し前にホテルに到着。夫は大好きな温泉へ、私は一人萩ガラス工房へ行きました。

 小さな工房をぐるぐる、ぐるぐる回って何度も眺め、四角いデザート皿を買いました。

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 そこへ工房のご主人が現われました。私が、伊勢丹で萩ガラスを観た時の衝撃と、今回ここに来られたことの感激を伝えると、おじさんは私を工房のあちこちを案内しながら、色々な話をきかせてくれました。その時間、約1時間。

 萩ガラスは、毛利のお殿様が化学の実験を藩で始めたときに作らせたのが始まり。それも当時では時代の先を行っていた長州藩です。外様大名で、江戸から情報を得られなかった萩藩は、長崎の出島で遊女や商人たちから情報を得たそうで、萩ガラスもスウェーデンからオランダ、そして出島から仕入れて研究してできたそうです。

 玄武岩で作るこのガラス、普通のガラスが1200度の温度で溶かすのに対して、1500度で溶かすので、技術と手間がかかります。ガラスを吹いて形を作る時間もたったの30秒。それで、やがて萩ガラスはすたれてしまいました。

 目の前にいる、このおじさん。萩ガラスを復刻しようと過去の文献をひもとき、ついに萩ガラスは生き返りました。毛利家は江戸時代に毎日きちんと、莫大な記録を残していたので、ガラスのために記録をひもといていると色々なことがわかったそうです。

 これは高杉晋作が愛用したというグラスです。日本の切り子などは4面、8面、12面にカットされているそうですが、萩ガラスは欧州の影響で10面カット。おじさんはこのグラスを求めて、日本海を北上。北海道でも保管している人がいたそうです。おじさんは当時の長州藩の貿易の回路を辿って北上したのです。

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こちらは、左が長州藩家老の周布政之介の愛用のグラス。右は大村益次郎愛用の酒盃。各家の人が代々大切に保管していたので、本物が残っていました。
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 淡い緑ではない透明のガラスを作るために、三原色の赤(金とか銅の鉱物)と黄色の鉱物を調合することで緑色を消してしまうのだそうです。他のガラス工房では、もう透明になっている材料でガラスを製造するそうですが、ここでは、調合も手間をかけて研究しながら行っているそうです。同じ手作りと言っても、手間が全く他とは違うのに驚きました。そのため、他のガラスの専門家たちが見学に来るのだそうです。

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 このガラスは普通のガラスの10倍の強度がありますが、熱には弱いので熱いものには使えません。一方、やはり伊勢丹で私を魅了した、こちらの内ひび貫入萩ガラスは、耐熱性に優れています。一般のひび入りグラスよりすっと細かく美しいひびが入っていて、3年経つうちにひびは全体に広がってより美しさを増すのだそうです。写真の赤色が入った花器は金を使っていて、高価なため、窯で溶かす時は一晩つきっきりでの作業になるそうです。こんな手間をかけて作る工房はないので、この赤の色は、他では見ることができません。

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 戊辰戦争の怨念を超えて、会津藩漆との合作もあります。
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 また、江戸から江戸切子の職人を呼び寄せて作った切り子もあります。おじさんは窯の部屋にも案内してくれました。近くに行くと熱いその窯は1300度になっていましたが、これから一晩かけて1500度にあげるのだそうです。

 これらガラスや塩、手すき紙などの名産品は当時の藩の莫大な収入源だったのですが、長州藩はその収益には手をつけずに貯蓄し、やがて起こる下関事件や維新への戦争の武器、鉄砲を輸入することができたのです。

 その他にも、たくさんの萩の歴史にまつわる話を聞きました。聞けば聞くほど、萩の人々の時代の先を読む力、賢明さ、学問を重んじる姿勢に感心するのでした。だからこそ、時代を、日本を動かすことができたのでしょう。

 手作りガラスと型ガラスの見分け方や、クリスタルは高級だけれど鉛を使っているのでそれでお酒を飲んでいると少しずつ溶け出すこと、だから鑑賞用であること、クリスタルのガラスは900度でできるので、手軽で安価だが、カット代とブランド代(バカラなど)が高いというからくりも教えてくれました。

 すっかり感激してホテルに帰ると、夫が携帯は通じないし、一時間も経つしで心配していましたが、私の話を聞いて、夫も感激。萩の旅を倍の素晴らしさにしてくれた萩工房でした。


 
                  萩ガラス工房
            〒758-0011
            山口県萩市越ヶ浜明神池上がる
            ℡:0838-26-2588
            FAX:0838-26-2666
                9:00~18:00(年中無休)



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by housewife_life | 2010-01-31 23:27 | 日常 | Comments(0)